翔ぶ鳥の印章
乳白の印章は半透明で、まるで朝霧が立ち込める風景のようです。そこに池の葦の上でも舞っているのでしょうか、植物と翔ぶ鳥が精緻に彫られています。自然そのままに描かれた構図はどこか博物画を思わせます。
こちらは印章ですから、時には手紙の封蝋などにこの印影を押したのでしょう。かつての持ち主は鳥たちが生息する沼沢地の近くに住んでいたのか、バードウオッチャーだったのか、ニックネームが "birdy" だったのか、今となっては知る由もありませんが、生命感豊かに生き生きと羽ばたく鳥の姿が好きだったのかもしれません。
透明感のある印章は白瑪瑙で、金色の持ち手は合金と思われます。持ち手の細くなる上部と印章に向かって広がる下部のつなぎ目が少しぐらつきますが、強い力でも加えない限りすぐにとれてしまうような状態ではありません。
19世紀、ヴィクトリア朝のイギリス製。サイズは印章面が約1.5×1.8センチ、持ち手の高さが約2.5センチです。
印章の石については買い付け時の情報により、その後、正式な鑑定はしておりません。
古いものですので、前述のぐらつきの他に傷、汚れがありますが、印影にかかる大きな傷はありません。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。