真珠貝を綺麗に磨いたクロスの四方に金属の透かし細工を施した十字架です。磨かれた真珠貝は内から発光しているように光を含み、グレーの地に美しい白い光の筋が走ります。透かし細工、イエス像などはシルバーと思われますが、黒みを帯びて古い聖堂の装飾を思わせます。
合わせたカードは、祭壇の前の紐で繋がった白い鳩の頭上を光り輝く鳩が飛ぶという少々、不思議な絵柄のものです。光を放つ頭上の鳩はイエスが洗礼を受ける際に訪れた聖霊の象徴であり、全体としては、カトリック教会において司祭や司教に聖職を行う権能を授け、それを果たす恩寵を与える「叙階の秘蹟」を表しているようです。そういえば、傍に司教様が身につける帽子やマントが描かれていますね。
鳩はキリスト教では清らかな生き物とされます。磨かれた真珠貝もキリスト教にまつわる品物によく使われますが、白い光をぼぉっと内に宿したようなその佇まいを見ているとそれも頷けるような気持ちになってきます。

十字架は20世紀初めの頃までのフランス製、ホーリーカードもほぼ同時代のものと思われます。
サイズは十字架が約3.8×5.5センチ。やや小振りですが造りが細やかで光が凝縮したかのような引き締まった印象です。チェーンは現行品で長さが約43センチです。カードは約8×11センチです。
どちらも古いものですので傷、汚れがあります。