黄色味を帯びて熟れた木の実のようなガラスビーズが印象的なロザリオです。クロスとチェーンを繋ぐプレートにもマリアではなくイエスの姿が浮き彫りにされていますが、こちらは聖母マリア出現の奇跡の地ファティマのロザリオなのです。ビーズは綺麗に磨かれ、金属のクロス、プレートともに重厚な雰囲気を漂わせています。
ポルトガルの小さな町ファティマに住む3人の子供の前に1916年に天使が、続く1917年に聖母マリアが現れました。このことは1930年に公認され当地は大切な巡礼の地となったのです。
合わせた祈祷書は樹脂の表紙に十字架などエンボスの装飾があしらわれ、中にも表情豊かな銅版画が何枚も見られます。表紙の浮き彫りは古色を帯びて陰影を深め、金属やベルベットとは違う、独特なよい質感になっています。

ロザリオは20世紀半ばまでのポルトガル製で、祈祷書もほぼ同時代にフランス、トゥールで出版されたものです。
サイズは、ロザリオのクロスが約3×5センチ、チェーンの長さが約78センチ、クロスとチェーンを繋ぐ部分が約12センチです。祈祷書は約7×10.5センチ、厚さが約2センチです。
祈祷書の扉絵が一枚、綴じがとれて本体から離れており、表紙に反りがあります。また、ロザリオ、祈祷書ともに古いものですので他にも傷、汚れがあります。