三弁花のブローチ
鈍く固まったような金色の蔦と花、そこにひとつだけ水色の光を放つ小さな花が。全てが金に変えられてしまった世界に、ただひとつだけ生命の煌めきを宿す花があるようで、まるでおとぎ話の中の場面のようなブローチです。
爽やかな生命力を感じさせる煌めきの粒はカットされたペーストガラスです。さっきまで伸びていたものを瞬時に金属にしてしまったような見事な細工の植物は、金属に彩色をしたものですが、その輝きを抑えた鈍い質感が神秘的です。台座の外枠は網目のような透かし細工になっており、このブローチの手の込んだ造りを物語っています。
ペーストガラスは遥か昔から宝石を再現しようとする歴史の中で生まれ、高貴な人々にも広く支持され、19世紀、ヴィクトリア朝の頃にそのピークを迎えました。そして、20世紀初頭、アール・ヌーボーの時代に、優れたデザインに希少な宝石の代わりにガラスのジュエリーを合わせ、より自由で独特な表現を現実のものとするようになったのです。
こちらも1910年頃、「ベル・エポック」(美しい時代)と呼ばれ繁栄した華やかな時代のフランスで製作されたもののひとつで、アール・ヌーボーの有機的な意匠に美しいペーストガラスがあしらわれたお品になっています。
サイズは約2×2.5センチです。
古いものですので、ペーストガラス、台座ともに傷、汚れがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。