金色のハート型のロケットペンダントです。中央には瑞々しい紫のガラスの粒がみっつ。これは豊穣の葡萄の房のように見えるのですがいかがでしょうか。その両脇には可愛らしいシードパールが置かれています。蓋はきちんと閉まり、蝶番も機能していますので、中を開け何かを納めることができます。
裏には流麗な筆記体で "E L" のイニシャルが、そしてその下にドイツ語で何かが彫られていますがこちらは解読できませんでした。その下の数字はこのペンダントが贈られた日付で「1906年8月4日」を表しているのではないかと思われます。今から100年以上前の夏の日、ドイツの何処かで誰かがイニシャル "E L" の誰かにこのお品を贈ったのでしょう。「その日はどんな天気だったのだろう。」などと思わず知らず意識が時空を超えてしまいそうです。その後のこのペンダントとそれにまつわる登場人物の運命は知る由もありませんが、このペンダントだけはベルリンから極東の島国に送られて、今、ここにこうして生きています。
表面の黒い三角形の部分にもうひとつ粒が入っていたようですが、それは失われてしまい小さな穴が空いています。

20世紀の初め頃のドイツ製で本体は金メッキです。
サイズは約1.8×2センチ、チェーンは現行品で長さが約40センチです。
古いものですので前述の欠損の他に若干のへこみ、傷、汚れがあります。