オパールセントガラスの聖母像(半身)
優しい表情で手を合わせ、何かを祈っておられるマリア様の半身像です。
素材はオパールセントガラスで、その特徴であるガラスらしからぬ柔らかな質感と内に光を含んだようなぼぉっと青白い佇まいが特によく現れているお品です。
このガラスのもうひとつの特徴は光を浴びた時に浮かぶアプリコットの遊色ですが、このお品はお顔から首筋に青緑の光が浮かび上がります。そして上半身がほんのりとアプリコットに染まり、表面に施された服の皺はほんのりと光を含んだ青い筋となります。そこには静かに祈られる荘厳で神秘的なマリア様のお姿があります。
このお品は1909年からパリにあったエドモンド・エトランの美術工芸品店で扱われたもので、うっすらとですが"ETLING FRANCE"の文字が入っています。ここで扱うガラス製品はパリの選ばれたガラス工房に発注されていました。このお店は1940年に閉店され、ユダヤ人の家系であったエトランは、第2次世界大戦中に強制収容所で亡くなっています。
そのような顛末を考えれば、このお品はひととき華やいだアール・デコの時代の柔らかく儚い幻のようにも思われます。
1930年代までのフランス製。サイズは高さが約9センチ、台座の横幅が約7.2センチです。
古いものですので台座にかすかな欠けなどの傷や、他に汚れがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。