エメラルドガラスのブローチ
豪奢な透かし細工の間から、深い森に隠された秘密の湖水のように、透明感のあるエメラルドグリーンがのぞいています。精緻な意匠の台座は金属が古色を帯びて極鈍い艶を纏い、今は忘れられたものから滲む、華やかな在りし日々の記憶を形にしたもののように感じられます。綺麗にカットされたガラスは時に光を含み、また時には深く沈んだ表情を見せ、上品でちょっと気まぐれな方の心の面を表しているかのようです。まさに、かつて華麗な日々を過ごし、いまは静かに佇むお年を召した女性のようなお品です。
このブローチは、フランスで "Les Années Folles"「狂乱の時代」と呼ばれた1920年代の10年間に作られたもので、同時代をアメリカでは「ジャズエイジ」、ドイツでは「黄金の20年代」と呼びました。ひとときの繁栄の時代に生まれ、その後の暗い戦争の時代を生きてきたお品が語る物語に、どうぞお耳を傾けてください。
1920年代のフランス製で、サイズは全体が約6×4センチです。
古いものですので、ガラスには若干の欠けがあり、ピンや金属部分に歪みがあり、全体に傷、汚れがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。