ブローチ羽虫の小さな標本
19世紀、イギリスで装飾品に使われたブローチハムシを小さな小さな宝石箱に納めてみました。綺麗な光沢のある緑に光の加減で赤銅色に輝く粒が生まれ、縁取りも金属のような光沢の赤銅色になります。本物の虫を加工したものですが、こちらは装飾品に使用する前の素材の段階のもののようです。
当時のイギリスでは、かつて古代エジプトで聖なる虫とされるスカラベをかたどったものを色々と再現しようとしていました。しかし、実はスカラベは主に黒い甲虫で、見た目が地味になってしまうため、代わりにこのお品のような色鮮やかなブローチハムシというハムシの一種を使ったのです。しかし、それも100年以上前のことで、今となってはこの虫を使った装飾品もスカラベと呼ばれて流通しているというわけなのです。
合わせた宝石箱は、この虫とほぼ同時代のイギリスないしはフランス製で、側面には躍動する植物が浮き彫りにされて精緻な仕上がりになっています。金属の銀色が黒みを帯びて、鈍くよい質感が、中でひっそりと煌めく虫と本当によく合っています。こんな小さな箱に元は何を入れたのでしょうか。
サイズは、宝石箱が約3×2.3センチ、高さが約1.8センチです。中のクッションは、現行品のスポンジを標本の高さに合わせてこちらで切ったものです。
古いものですので、宝石箱のガラスの隅に欠けが、標本の脚に欠損があり、他にも傷、汚れがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。