ちょっととぼけた鵞鳥が口にぱくりと紙をくわえるところを見ていると、ほんのりと笑みが浮かんでしまう。そんなクリップです。ちょっと無理なお願いの伝言なども、この鵞鳥に頼めばなんとか通してくれるかも知れません。
ずっしりと重みのある真鍮は、それはもう十分に古色を帯び、実際に長らく使われたのでしょう、その表面は地がのぞいて黒光りしている箇所もあります。もはや渋味すら漂わせて、長らく時を経た人生の経験で、人の心を溶かす手練手管も知っていそうな鵞鳥さんです。

製作年の詳細は不明ですが、19世紀、イギリスのものと思われます。
サイズは、くちばしから反対側の端までが約12センチです。重さは約146グラムありますので、机上に吹く人生の荒波にも負けないでしょう。
古いものですので傷、剥げ、汚れがありますがクリップのバネは機能します。