真珠貝のオペラグラス
19世紀末のオペラグラスはいかがでしょう。革のケースを開けると内張りは赤で、そこに金色の文字で店名などが記されています。その中に収まる真珠貝で飾られたオペラグラスはとても艶やかで、優雅な観劇の様子が浮かんできます。真珠貝は時を経て飴色がかり、しかし、真珠貝特有の虹色の光沢は失ってはいません。金属部分は光沢のある銀色と赤銅色のパーツのさりげない組み合わせが味わい深く、元はあったと思われる塗装のはげ具合や真珠貝の古色と相まって、往時の夢のような華やかさと時の流れの儚さを物語っています。
オペラグラスのケースは持ち歩いたために損傷が激しいことが多く、このお品も表面に擦れや傷があり、内張には対物レンズの縁の跡が丸くついており、口金も一部失われていますが、蝶番や持ち手の革紐は健在です。
さほど倍率は高くありませんが、レンズは明るく小鳥などはよく見えます。現代の大きなコンサートホールではあまり役に立ちそうにありませんが、当時のオペラを桟敷席から見る分には十分だったのでしょうね。世紀末、この愛らしいオペラグラスはどんな貴婦人とどんな舞台を見て来たのでしょうね。
19世紀終わりの頃の製作で、イタリア、トレント、"Francesco Avanzo" と販売店と思われる記載があります。
サイズは、本体が最も縮めた状態で約6.5×10.5センチで、10.5センチは本体の最大幅です。
古いものですのでレンズに若干の汚れがあり、そのほかにも傷、汚れがあります。
ふたつの接眼レンズの間のマイナスネジが緩みやすく、緩むとピント調節ができなくなります。その際はマイナスドライバーで軽く締めてお使いください。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。