真鍮を黒く塗った色が所々剥げ落ち、そのよい感じの古色が印象的なペンダントです。こちらのお品は19世紀、ヴィクトリア朝、イギリスのレディの便利ツールでもあったのです。側面上部にある突起をスリットに沿って押し下げると3種類のツールが出てきます。
まず、メカニカルペンシルです。これは先端から芯を入れて、側面のリングを回すと芯が出る仕掛けです。
次のフックはボタンをとめるためのものです。当時の服にはたくさんのボタンがついているものがあり、見た目はエレガントなのですが、毎回それを全てとめて履いていました。それを少しでも短時間で行うためのフックです。
最後にへら状の金属はマニキュアをする際のツールなのだそうです。
当時の身分のある女性が身の回りの品々を下げて携帯したシャトレーンというチェーンストラップのようなものがあるのですが、それにつけられていたアイテムのひとつだったのかもしれません。長い時の流れだけが産むことのできる質感も素敵ですが、当時のレディ達の生活やその時代の空気にも少し触れることができそうなお品です。

19世紀、ヴィクトリア朝のイギリス製。サイズは全てを収納した状態で約1×4.5センチです。チェーンは現行品で長さが約40センチです。
メカニカルペンシルの芯は現行品では合う太さのものが入手しにくいかもしれませんが、やや太めの芯を紙やすりで削って調節して使うことができます。何れにしても芯は短いものが一本しか入りませんので、よろしければお試しください。
古いものですので前述のハゲの他、傷、汚れがあります。