不思議の国のアリスと鏡の国のアリスのハードバックの一巻本です。もちろん、英文はルイス・キャロルが書いた通りで、鏡の国のアリスでの鏡文字もその通りの文字組になっています。
色彩挿絵が8枚、それ以外にも白黒の挿絵が多数入っています。アリスと言えばジョン・テニエルが有名ですが、こちらのアリスはフィリップ・ゴフの手によるもので、もっと表情豊かに生き生きとして、チョッキのポケットから懐中時計を出すウサギが通りかかれば当然、あとを追いかけて行きそうです。
他のキャラクター達も風刺がよく効いたユーモラスな姿で描かれ、その周囲に描かれた風景からは物語の雰囲気から音や温度、匂いまで伝わってきそうです。96ページと97ページの間のロブスターの鮮やかなこと！ゴフは1908年の生まれで、挿絵だけでなく舞台美術も手がけていたそうですが、その辺りも影響しているのかもしれません。
表紙はベージュの地に赤と青を使ってキャラクターが描かれ、見返しにも青と赤のキャラクター達です。赤のキャラクターが赤白反転しているところもちょっとおしゃれですね。
アリスはこれまでに様々な本となって世に出ていますが、テニエルともディズニーとも違うアリスをぜひお楽しみください。

1955年、イギリスにて出版されたThe Heirloom Library版です。サイズは約13.5×21センチ、厚さは約3センチです。
古いものですので傷みや汚れ、書き込みがありますが、綴じは切れておらずページの欠損はありません。