19世紀、ヴィクトリア朝、イギリスの印章です。透明感があって美しい薄紫のガラスに "PREPAY YOUR LETTER" と彫られています。これは多分、「返信料先払い」の意味で、お返事をいただきたいという時に返信料を払ってこの印を封蝋に押したのでしょう。
そういえば、こちらは電報ですが、ウィステリア荘の事件の冒頭でシャーロック・ホームズも言っています。
「女性は返信料付きの電報など打ったりしないよ。それより自分で訪ねてくる。」
このように、当時の郵便に返信料付きというものがあったのでしょう。
綺麗なガラスにシルバーの持ち手をつけて、ペンダントに仕立てていますが、チェーンを懐中時計のものにしてもよいですね。さっと書簡をしたためて、傍の蝋燭で炙ったワックスを封筒にひとしずく、そこにこの印を押して自分で投函に行ったのか、あるいは使用人を呼んだかも知れません。「すまないがこれをすぐに出してきてくれ。返信料付きで。」などという声が聞こえてきそうです。

19世紀、イギリス製。サイズは印章面が約1×１センチ、持ち手の高さが約1.2センチで、チェーンは現行品で長さが約43センチです。
古いものですので小さな欠けや汚れがありますが、陰影にかかる傷はありません。