スミレの花を中心にして葉、繊細な茎、力強い曲線を大胆にあしらったブローチです。アール・ヌーヴォーらしいシルエット、全体の鈍い金色、花弁や葉の部分にもとあった紫、緑の彩色がうっすらと残っているところも、長い時間の流れだけが創り出すことのできる味わいです。
スミレの花言葉は「謙虚」「小さな幸せ」などですが、西洋では紫のスミレに「白昼夢」という花言葉も与えています。ひっそりと咲くスミレのように、時々のささやかな喜びを見出しつつ、時には夢見がちに日々を過ごす。そのような暮らしと物語を静かに語るようなブローチです。
それに合わせたスミレのカードは、エンボスのきいた造りにほんのりと柔らかな手彩色が施された新年のご挨拶のものです。"BONNE ANNEE" の言葉の上に小さなツバメが三羽。ツバメもスミレも「愛、幸運」を象徴するものとされますので、新しい年を迎えるに相応しい優しさに満ちた美しいカードです。

ブローチは19世紀末から20世紀初頭のアール・ヌーヴォーの時代のフランス製。カードもほぼ同時代のものと思われます。
サイズは、ブローチが約3.5×3.3センチ、カードが約6.6×12.3センチです。
古いものですので両方とも傷、汚れがあります。