黄水晶の印章
透明感のある黒みを帯びた黄色の石が穏やかに光を宿しています。こちらは19世紀初め、ヴィクトリア朝となる前、ジョージ朝末のイギリスの印章で、そこに彫られた絵柄はコンパスと "KEEP" の文字です。
フリーメイソンリーの象徴体系で、コンパスをはじめ石工術に直接由来する道具は理念や教訓を伝える教材として使われます。その中でコンパスは中心点から円という輪郭を描く道具であることから「感情や行動を一定の範囲にとどめよ。」という戒めを伝えるものであり、具体的には自制心や節制、平常心などの象徴となります。
そして KEEP は、例えば "Keep calm."「平静であれ。」のように、感情や行動を一定に保つ際に使われる語です。
もうひとつ付け加えれば、旧約聖書の記述から神はコンパスを手に宇宙を創造したとされ、フリーメイソンリーにおいてはコンパスは神とも結び付けられ、そこから最高規範、公明正大、叡智などの象徴ともされています。
このことから、この印章は19世紀初頭、イギリスのフリーメイソンが重要な意味を持つ図象と語を彫って使用したものと言ってよいでしょう。
持ち手は金メッキですが、古色を帯び、印章の石と調和するよい質感になっています。
サイズは、印章面が約1.6×1.5センチ、持ち手の高さが約2.5センチで、チェーンは現行品で長さが約43センチです。
古いものですので傷、汚れがあります。
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