十字架とパンジーのモーニングブローチ
十字架にパンジーが彫り込まれています。その柔らかく繊細で、立体的な陰影が美しい仕上がりはとても素晴らしいものです。パンジーはフランス語の「パンセ 思い」という語が名前の由来ということで、その花言葉には「思い出」「私を思って」などがあります。この黒いブローチは、亡くなった人を想って身につけるmourning jewelryのひとつなのです。
早くに夫を亡くしたヴィクトリア女王も、夫の死後、モーニングジュエリーを身につけて過ごしました。その素材は本来、木が長い年月をかけて化石化したジェットで、イギリスはヨークシャーのウイットビーで産出するものが使われました。しかし、あまりにも産出量が少ないこともあり、高貴な方を真似てモーニングジュエリーを身につけたい人々はその代わりとなる素材を用いたのです。このお品に使われているヴォルカナイトもそのひとつで、1842年に発明されたごく初期の樹脂です。このお品をご覧になってもお分かりの通り、柔らかく艶のある質感はブラックジュエリーに相応しい素材と言えるでしょう。
19世紀終わりの頃までのヴィクトリア朝後半のイギリス製で、サイズは約3.5×3.5センチです。
古いものですので、若干の傷、汚れがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。