"A PHOTOGRAPHIC CURIOSITY"「写真の驚異」と題されたこのプレパラートは、顕微鏡で見る微小な写真なのです。この技術は1852年にイギリスで発明されました。
それ以前は研究者のものであった顕微鏡なども19世紀になると一般に普及し始め、多くの人々がミクロの世界を目にするようになりました。同時に富裕な人たちは争って珍奇なものを求め、その中にこの顕微鏡写真もあったのです。
こちらはイングランドの初代の王で在位828~839年のエグバートから19世紀のヴィクトリア女王まで、歴代の王様、女王様が勢揃いした画像です。製作者のジョン・チャールズ・ストーヴァンはその経歴の全てがわかっているわけではないのですが、1814年、イングランド、ノッティンガムシャーに生まれ、少なくとも1859年から1862年までロンドンにスタジオを持ち、計150種類のマイクロフォトグラフを製作したことが判明しています。ラベルの一番下に"J S"のイニシャルを記したこちらのプレパラートはそのうちの一枚で、今でも顕微鏡で画像を見ることができます。
19世紀中頃、コレクターの珍奇なものへの欲求を満たす目的で作られた技術ですが、のちに機密情報の伝達などに使われマイクロフィルムの走りとなりました。

1859年から1862年のイギリス、ロンドン製。サイズは約7.5×2.5センチです。
古いものですので汚れや傷があり、プレパラートの角の部分に微細な欠けがありますが、画像に影響はありません。