チェーンからクロス、そしてチェーンとクロスを繋ぐ聖心を表すハートまで、全てが磨いた真珠貝でできたロザリオです。真珠貝のビーズ、クロス、ハートともに特有の艶を帯び、光の加減でビーズのひとつひとつまでがそれぞれに違う光を宿します。
それに合わせたホーリーカードは立ち上る煙の中に浮かぶ聖母子の姿が見事に描かれています。そしてこのカードのテーマは「トンスラ」です。トンスラとは修道士が頭頂部から側頭、後頭部にかけて頭髪を剃る髪型のことで、十字架に架けられたイエス・キリストがかぶせられた茨の冠を模しているとも言われています。何れにしても、これは俗世と決別した聖職者の象徴としてのトンスラの意味を描いた図版なのです。

ロザリオは19世紀から20世紀前半までのフランス製。ホーリーカードは裏に手書きで文字と数字があり、それから1880年代のものと推測され、やはりフランス、パリ製です。
サイズは、クロスが約2×3.5センチ、チェーンが長さ約54センチで、クロスとチェーンを繋ぐ部分が約10センチです。なお、ロザリオは本来首からかけるものではないため、チェーンを切り離す環が付いておりません。どうぞご注意ください。
古いものですのでロザリオ、カードともに傷や切れ、汚れがあります。