大変珍しい2枚で意味をなす幻灯機用の木枠スライドで、19世紀から20世紀初頭、アメリカ合衆国のフリーメイソンのロッジで製作されたものです。1枚は美しい星空で "Stars Unutterably Bright"「えも言われぬ輝きの星々」と記されたラベルがあり、もう1枚は星空に彗星、あるいは流れ星が現れた絵で "Numberless Worlds"「数えきれない世界」との表記があります。
この2枚の使い方ですが、2台の幻灯機を用意し、まず星空の画像を投影しているところに2台目の彗星、あるいは流星の画像を重ねて投影したのだと思われます。そうすると美しい星空に流れる星が出現します。イメージを共有する機会が少なく、ましてや動画など望むべくもない19世紀の世界では、この演出は見る者にかなりのインパクトを与えたのではないでしょうか。
本来、拡大して見るものなので、夜空の雲の表現から星のひとつひとつまで精緻で美しく表現されています。
フリーメイソンには「位階」"degree"という成員の序列があり、入会を認められたところから始まる最も基本的な3位階が「入門徒弟」"entered apprentice"、「同輩職人」"fellow craft"、「棟梁メイソン」"master mason" なのですが、このスライドは「同輩職人」の位階 ( F. C. degree )での集会や儀式で使用されたものです。
夜空に現れる星といえば東方の三賢人にイエス・キリストの生誕を告げる星などがありますが、このスライドには「数えきれない世界」との記述があり、何を表現し、何を伝えようとしていたのかは謎です。
何れにしても美しい星空がガラスに描かれており、背後からの光も通しますので、紙に描かれた絵とは違う表情をお楽しみいただけます。絵の部分は両面から別のガラスで挟まれておりますので、こすっても傷つくことはありません。

この木枠スライドをより美しくお楽しみいただくためのライトボックスがございます。適合するお品は「幻箱中型第二世代」です。間違って「幻箱レギュラー第二世代」をお求めにならないようご注意ください。
こちらの幻箱中型は、現在、在庫がございませんがご希望の方には受注生産いたします。お値段は8,000円で納期は1カ月ほどいただきますが、よろしければ別途お申し付けください。
なお、ひとつのライトボックスに2枚を合わせて同時に展示することはできません。

19世紀末から20世紀初頭のアメリカ合衆国製で、サイズは木枠を含む全体が約17.4×9.8センチです。
古いものですので若干の傷や汚れがありますが、時代の割りにはよい状態です。