病める悪魔のステレオグラム
ある時、悪魔が病気になりました。この設定に、すでに違和感を覚えるむきもありましょうが、とにかくなったのです。いつもの彼らしくもなくしょんぼりとして、何だか可哀想です。その時悪魔は思いました。「私は聖人になると誓います。ですからこの苦痛を取り去ってください。」そして悪魔の病は治りました。すると悪魔はやはり悪魔のままでした。
このカードの下には "The Devil was sick" 「悪魔は具合が悪かった」との文字がありますが、これは "The devil was sick, the devil the saint would be; the devil was well, the devil the saint was he!"「悪魔も具合が悪いと聖人になりますと言うが、治ってみると俺はもとから聖人だぜなどと言う。」要するに難儀な時の約束はそれが去ると守られないという諺なのです。日本風に言うと「言うは易く行うは難し」がやや近いでしょうか。
この可哀想な悪魔も、病が治ればけろっとして誓いのことなど忘れてしまうのでしょう。
このカードは「ステレオグラム」、「ステレオスコープカード」と呼ばれ、ステレオヴューワーという装置を使って見ると見事に立体的なひとつの画像になるという、19世紀の3D写真なのです。少し練習すればステレオヴューワーを使わなくても立体視できるそうですから、試してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、左右の写真は同じものに見えますが、実は左右の目で見る像がそれぞれ少しずつ違うように、この左右の写真も少しだけ違うものなのです。
1900年頃のイギリス製。サイズは17.5×9センチです。
古いものですので傷みや汚れがあります。
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