オパールセントガラスの脚付ボウルです。オパールセントガラスはガラスらしからぬ柔らかな質感で、青白い佇まいの中にアプリコットの遊色が現れて夢のように綺麗です。
少々珍しい金属の脚付きで、ボウルの外側に葡萄の果実と葉が浮き彫りにされています。内側から見ると、ガラスが厚い葡萄の部分がぼんやりと青白く浮かび上がり、光の加減でその模様がさらにぼぉっとアプリコットに染まります。まるで夕靄の中、瑞々しい葡萄が夕陽に染まるようで、本当に幻想的な景色です。
3本脚の部分は装飾を施した猫脚で、なんだか歩き出しそうな、少し謎めいた雰囲気です。古色を帯びた質感もオパールセントガラスの魅力をさらに増しています。
このお品は1909年からパリにあったエドモンド・エトランの美術工芸品店で扱われたもので、"ETLING FRANCE 152" の文字が入っています。152は製品番号で、ここで扱うガラス製品はパリの選ばれたガラス工房に発注されていました。このお店は1940年に閉店され、ユダヤ人の家系であったエトランは、第2次世界大戦中に強制収容所で亡くなっています。
柔らかく儚い幻のようでもあり、アール・デコの、ほんのひと時華やいだ時代を想わせます。

1920年代、フランス、パリ製。直径が約20センチ、全体の高さが約13.5センチです。
古いものですので若干の汚れや傷はありますが、目立った欠けなどはなく、時代の割りには大変よい状態です。