銀色の燃える心臓のエクスヴォートです。エクスヴォートは教会で願掛けをし、その願い事がかなった時に奉納するものです。心臓はイエス・キリストや聖母マリアの人々に対する愛の象徴で、教会に行くとたくさんのエクスヴォートが壁に掛けられている様を目にすることがあります。
こちらのお品はかなり古色を帯びて黒々とした中に鈍い光を残していますが、実際にどこかに掛けられていたのでしょう。何れにしても願いがかなったお礼の品ですので、身近に置くことでご利益のおすそ分けがあるかも知れません。
合わせたデスカードも荊の冠をつけて血を流す、燃える心臓のデスカードです。荊の冠と流れる血は受難を表し、燃える炎はそれを変容させる愛の力を表しています。そこにさりげなく添えられたオリーブを加えた鳩は聖霊の象徴であり、神と人との和解、神による救済の象徴でもあります。そっと配された銀色の彩色が静かな祈りを感じさせ、亡くなった方の受難が神によって救われることを願う絵柄になっています。

エクスヴォートは20世紀中頃までのアメリカ合衆国製で、素材は銀メッキと思われます。サイズは約2.3×3.3センチ、チェーンは現行品で長さが約43センチです。
デスカードは1884年、ベルギー製。サイズは約7×10.5センチです。
どちらも古いものですので傷みや汚れがあります。