花で縁取られた東屋に聖母子像を置いた、つやのある白い陶器が美しい聖水盤です。聖水盤は受け皿の水に指を浸し、その水で身を清めるものですが、こちらは一般の家庭用だったかもしれません。今だったら忘れやすい小物やアクセサリーを入れておくのもいいですね。
縁取りの花々のうち聖母子像の背後のものは金の彩色が残っていますが、作られた当時はすべての花に金彩があったのでしょう。また両側に何かが折れた跡があり、元は尖塔が立っていたのかもしれません。
元々は手の込んだもっと華やかなものだったのかもしれませんが、長い時を経て色々なものが剥ぎ取られ、今は白い陶器がその清らかさだけを静かに留めているのでしょう。

20世紀前半までのフランス製で、サイズは、正面の幅が最大約10.5センチ、高さが約19センチです。
古いものですので各所に小さな欠けや傷が、汚れや彩色の剥がれがあります。また聖母子像をつけ直したと思われる跡、前述のとおり折れた跡がありますが、すべてこのお品の年月を経た風合いとご理解ください。