残照と言えるようなくすんだオレンジのビーズをあしらったルルドの巡礼を記念するブレスレットです。プレートは古色を帯びた金属が赤銅色の鈍い光を残し、少女ベルナデッタがルルドの洞窟で貴婦人と出会う場面とルルドの教会堂が表裏に浮き彫りになっています。その貴婦人は数々の奇跡を経て聖母マリアと認定され、ルルドは大切な巡礼地となりました。ビーズの素材は樹脂のようですが、その深みのある色味は時を経た金属の質感とよく合っています。見た目より軽いので長時間手首につけても疲れないと思います。
もう一点のブローチも、黒味を帯びた深いオレンジ色が、終わろうとする光の世界と来るべき闇の世界がせめぎ合う、まさに夕焼けの最後の輝きを思わせる色合いです。台座はフルール・ド・リスをモチーフにしたと思われる金属製で、鈍い輝きを宿しています。
ブレスレットのビーズはつや消しの球に光を含み、ブローチのガラスは密やかに煌めきを放つ。両者は対で造ったものではないので質感は違うのですが、それぞれに1日の終わりの光を思わせるセットになっています。

ブレスレットは20世紀中頃までのフランス製。サイズは、プレートが約1.6×3センチ、チェーンの長さが約18センチです。
ブローチもほぼ同時代かもう少し古いイギリス製で、サイズは約2.8×2.3センチです。
どちらも古いものですので傷、汚れがあります。