ヴァニタスのブローチ
花束に扇子、仮面にオペラグラス、そしてタンバリン。それらは舞踏会や歌劇場で繰り広げられる華やかな貴婦人の社交の世界を垣間見せます。しかしそこにそっと置かれた残酷な時の流れを象徴する懐中時計、そしてこのブローチの素材は喪に服す際のモーニングジュエリーにも使われる黒いエボナイト。それらは虚栄の果てに訪れる人生の儚い終末を暗示しているのです。
そのようなわけで、このお品はカルぺ・ディエム「その日の花を摘め(今を楽しめ)」、メメント・モリ「死を忘るなかれ」と並び虚栄の儚さを語るヴァニタスのブローチと言えるでしょう。ヴァニタスはバロック期の精神を表す概念ですが、本来はラテン語で「空虚」というような意味です。
19世紀中頃、ナポレオン3世時代のフランス製。サイズは約5×3センチです。
古いものですので傷や汚れがあります。
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