オークと鳥籠の印章
19世紀中頃、イギリスの印章です。イングリッシュオークの葉と実が彫られ、"HEART OF OAK"「オークの心材」の文言が添えられています。Heart of Oak は17世紀に作られた曲の題名でもあり、イギリス海軍の公式行進曲です。オーク(楢)は当時、イギリス海軍の軍艦に用いられた木材で、表皮に近い部分よりも芯に近い心材 "heart of oak" の方が堅牢であったことから、それが屈強で勇敢な海軍の水兵や海兵を指す表現となったのです。
楢は堂々と豊かな葉と実をつけ、森の生き物たちに恵みをもたらす木であり、その最後は火持ちのよい優れた薪になります。その豊穣の葉と実が海の香りのするエピソードと結びつく、とても意味深い意匠です。
さて、問題は持ち手です。立派な鳥籠と思われるデザインなのですが、これまでに申し上げたお話しとこの鳥籠の関連がよくわからないのです。何はともあれ、実に手の込んだ古めかしい鳥籠に仕上がっています。
印章面の素材はガラスのようですが、黒みを帯びた赤の色調が重々しくよい雰囲気です。
サイズは、印章面が約1.1×1.1センチ、持ち手の高さが約2.3センチです。チェーンは現行品で長さが約43センチです。
古いものですので全体に汚れや傷があります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。