ある理念のもとに集い、メンバーの間でその理念を深め、普及すべく活動する団体としてはフリーメイソンがまずあがりますが、19世紀、アメリカ合衆国では他にもいくつかの団体が結成されました。こちらのリボンは、ペンシルベニア州タイタスヴィルで1890年に結成された "the Ladies Catholic Benevolent Association"「女性カトリック慈善協会」のものです。
この団体は特に女性を経済的に支援する互助団体で、大雑把にいえば現在の保険や個人年金のはしりのような組織と言えるでしょう。また、フリーメイソンは基本的に女人禁制を頑強に守っていますが、こちらは当時まだ立場が弱かった女性による女性のための団体でした。
このリボンは「聖アントニイのジャーマンブランチ No.404」という支部のもので、支部に聖アントニイなどの名前をつけ、さらに番号をつける様式はフリーメイソンの「ロッジ」のやり方と同じです。ちなみに「ジャーマン」と言っていますが、アメリカ合衆国、カンサスのものです。
艶のあるバッジに厚みのある布を使ったリボンが、銀文字にどっしりとしたモールで、大変丁寧な造りで、当時の会員の誇らしい気持ちが伝わってくるようです。

20世紀初頭までのアメリカ製。サイズは、バッジ部分の横幅が約6センチ、リボンが約5.5×19.5センチです。
古いものですので若干の傷みや汚れがあります。