少年の肖像写真入りブローチ
アールヌーヴォー調の金属装飾の丸い枠の中に、少年の写真が入っています。樹脂のカバーには長い時を経た汚れがありますが、ほんのりと笑みを浮かべた表情、その若々しく快活そうな眼差しはまだはっきりとわかります。
このようなブローチは、亡くなった方の遺影を身につけてその方への想いを忘れないために使われることが多かったのですが、この少年も若くして亡くなったのでしょうか。それとも、外国へ旅立つなど長いお別れの記念に作ったのでしょうか。
制作年の詳細はわかりませんが、アール・ヌーヴォーのスタイルからすると、1900年前後のものと思われます。そのころは第一次世界大戦など死が身近にあり、この男性も写真の数年後、青年になった頃に出征し命を落とされたのではなどと想像してしまいます。
生命の儚さ、記憶を消し去る時の流れの残酷さを象徴するものは様々ございますが、このブローチもそういったことを物語るお品のひとつであると同時に、今を生きることの意味について想いを深める触媒としてここに存在するのかも知れません。皆様はこのお品物に何を見出されるのでしょうか。
左右非対称の植物の装飾は硬い金属製で、古びた風合いになっております。
推定20世紀初め頃までのフランス製。サイズは外枠も含めた全体の直径が、約3×3.5センチです。
古いものですので、汚れや若干の傷みがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。