ジャンヌ・ダルクの聖像
陶器のジャンヌ・ダルクの像です。甲冑を身に纏い、足元には兜を置き、剣を胸に抱きしめたその表情に現れているのは勇気でも強さでもなく戸惑いと哀しみです。鎧の下の青い衣服にはフルール・ド・リスが描かれ、その色や柄はマリア様を象徴するのでしょうが、それもどこか空虚さを漂わせています。唯一、剣は今だ光を宿し、甲冑も鈍い輝きを残しています。
私はこんなにあどけなく人間的なジャンヌ・ダルクを見たことがなく、その表情に心を打たれます。かつてフランスの何処かの工房でこの像を作り、その顔に彩色を施した職人は、国民的な英雄であるジャンヌ・ダルクを知らないはずはありません。その時、その職人はどのような想いだったのでしょうか。
このお品はフランス西南部の大西洋にほど近い町から送られてきましたので、その周辺の教会か家庭に置かれ、人々を見守ってきたのでしょう。それから長い年月、長い旅をして古色を帯びたこの像の憂いに満ちた表情を、どうぞお手元でご覧になってください。
製造年の詳細は不明ですが、19世紀末から20世紀初め頃のフランス製と思われます。高さが約16.5センチです。
古いものですので、全体に汚れがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。