驢馬の印章
19世紀初めの頃のフォブシールです。懐中時計の鎖などにつける装飾品であり、同時に封蝋に押す印章でもありました。印章面は、ガラスと思われる素材に、驢馬とその上にイタリア語で "NON MI RICORDO" と彫られ、NON MI RICORDO とは「思い出せない」「覚えていない」という意味です。イタリア語で驢馬は「馬鹿、間抜け」を指す語としても使われるようなので、絵とモットーは内容として合っているのですが、なぜそれをわざわざ印章にしたのでしょう。しかも、こちらはフォブシールですから、普段、身につけていたわけで、意表を突く自虐的な装飾品だったのか、それとも洒落の効いたお品だったのか、はたまた、かなりの皮肉屋か世捨て人の持ち物だったのかもしれません。印章面に文字と絵柄にかかるひび割れがあり、そのため、読みにくい文字があります。
持ち手は金メッキよりずっと層の厚い金張りで、長い時を経て丸みを帯び、滑りのある質感がよい雰囲気です。
イギリス製で、サイズは、印章面が約2×1.5センチ、持ち手の高さが約2.5センチです。チェーンは現行品で、長さが約50センチです。
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