グランヴィル「ざくろ」
グランヴィル「花の幻想」から「ざくろ」を額装しました。ざくろは古くギリシャ時代にはヨーロッパに伝わったのですが、この絵ではちょっとエキゾチックな衣装ですね。
それもそのはず、ここに描かれているのはカスタネットを手にファンダンゴを踊るメキシコの踊り子グルナディーリャなのです。彼女は貧しい街の踊り子ですが、その踊りは他に及ぶ者のない素晴らしいものでした。この絵のように彼女が街の辻で踊ると、山のような群衆が周りを取り囲んだのです。
その後、物語は進み、彼女は火刑に処せられる受刑者の命を救い、スペインへと逃れるために船に乗り込みますが、その船は難破し、グルナディーリャの遺体はスペインの海岸へと流れ着きます。そこに居合わせた花の妖精は、ざくろの花である彼女の遺体を引き取り、人々はそこにざくろの植え込みをつくるのです。そして、その樹の花と実は、かつてのグルナディーリャのように今も人々の目を楽しませています。
以上のお話は、グランヴィルが描いたこの絵を見て、彼の友人タクシル・ドロールが書いた物語の一部で、谷川かおるさんの訳、八坂書房刊「花の幻想」を参照しました。
先に絵があり、それに触発されて物語ができるとは、彼の絵がいかに物語性を秘めていたかがよくわかります。
絵は1847年、物語とともにフランスで出版されたもので、この年はグランヴィルがまだ40代の若さで亡くなる年でもあります。鋼版画に手彩色です。
額とマットは現行品で、枠が木製でアクリル板を使用、サイズは太子判で外寸約30.5×40センチ、マット内の絵の部分が約17×25.5センチです。
古いものですので、絵には若干のしみや汚れがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。