墓所のブローチ
中央のプレートに霊廟、墓所と思われるものが彫られています。周囲はうねる植物をモチーフにした意匠です。プレートは古びた質感ながら輝きを放ち、周りの元は金色だったと思われる金属の表面は黒々とした古色を帯びています。生い茂った昼なお暗い森の奥で往時の面影を残しながら朽ち果てんとする霊廟を見るようです。
この絵柄にはどのような意味があるのでしょうか。聖人を葬った場所なのか、一族の遺体を安置した霊廟なのでしょうか。かつて読んだ小説で、遺体を先祖の霊廟に隠した犯人が「聖なる安息の場所に隠したのだから、遺体への冒涜にはならない」と言ったセリフを思い出しました。誰しも葬られた死者の霊に恐怖を抱きつつ、聖なる場所という意識も持ち、霊廟や墓所に対する畏怖の念を現実のものとして感じたものです。
このブローチを身につけることは、やはり「死を忘るなかれ。」という警句メメント・モリの意味を持つのでしょう。
19世紀から20世紀初頭のフランス製。サイズは約2.4×2.4センチです。
古いものですので、傷み、歪みや汚れがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。