折れた百合のデスカード
「今にも息絶えんとする百合の如く」との文字が下に見えます。西洋の百合は上を向いて凛とした花をつけますが、それが咲き誇っているまさにその時に折れて、今、運命が尽きる最後の時を迎えているのです。
こちらは、1901年に21歳で亡くなった青年のカードです。そうとわかれば、この絵、この言葉の意味するところもわかってきます。
生気に溢れた青年が突然亡くなったのでしょうか。残された方々が亡くなった方に捧げる哀悼の気持ちが伝わってきます。
1901年、パリ製。サイズは約7.5×12センチです。
古いものですので、傷みや汚れがあります。
✴︎デスカードについて✴︎
デスカードは亡くなった方のお葬式などで配られるカードで、裏にはその人の名前や生年月日、どのような人柄であったのかの説明、それとお祈りの言葉などが書かれています。意匠も様々で、静謐で厳かで美しいものです。
時々古い聖書に挟まっていますが、これはお葬式の時に記念に配られ、それを聖書に挟んだままにしておき、時々見返して故人を偲ぶ為だと思われます。
デスカードの絵を描いた作者は高名な画家では無いかもしれませんが、どれも美しく工夫が凝らされています。時には稚拙な画力のカードもありますが、悲しみを救いに昇華する為に描かれた絵にはやはり力があると思います。ささやかながら死者の冥福を祈り、生者の慰めを助け、いずれは誰もが逝く時の心の支えになるのでしょう。死を優しく受け入れようとする素敵な文化ではないでしょうか。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。