ロシアのイコンのリザ(カザンの生神女)
正教会で、聖像が描かれたイコンを保護するカバーをリザと呼びます。こちらは、19世紀、ロシア正教のイコン「カザンの生神女」につけられていたリザです。もちろんオリジナルではなく、当時、ロシアにあった複製に使われていたものです。イコンは板絵のことが多く、木の方が先に傷んでしまい、金属製のリザが残ったものと思われます。
生神女とは聖母マリアのことで、「カザンの生神女」のオリジナルは、16世紀、少女マトリョーナの夢に聖母マリアが現れてイコンの存在を告げ、その通りにカザン市の地下から発見されたのです。このイコンはその後、カザン市の聖堂に納められるのですが、1904年に盗まれ、破壊されたと言われています。しかし、その前に本物は他に移されていたという説も複数あり、今だにオリジナルの行方や真贋については結論が出ていないのです。
こちらは、宝石や貴金属で飾られてはいませんが、真鍮を手で打ったもので、製作に手間をかけた様子がうかがえます。
もともと、顔や手など大切なところは直接見えるように開けてあるものなのですが、今となってはその部分が空洞で、不思議な匿名性が感じられます。祭壇にあったと思われる真鍮も古色を帯びてよい雰囲気です。このまま飾ってもよいですし、背景を置いても、また開口部から観葉植物などを垂らしても興味深いオブジェとなると思います。
サイズは約26×30.8センチです。イコンから剥がしたものなので、歪みや傷み、汚れ、側面に釘の穴などがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。