ロシアのイコンのリザ(スモレンスクの生神女)
正教会で、聖像が描かれたイコンを保護するカバーをリザと呼びます。こちらは、19世紀、ロシア正教のイコン「スモレンスクの生神女」につけられていたリザです。もちろん、オリジナルのイコンではなく、当時、ロシアにあった複製品に使われていたのでしょう。イコンは板絵のことが多く、木の方が先に傷んでしまい、金属製のリザが残ったものと思われます。
スモレンスクの生神女のオリジナルは使徒ルカが描いたとされ、ギリシャから当地へもたらされ、12世紀初頭、生神女就寝大聖堂に納められた時からスモレンスクのイコンと呼ばれるようになりました。その後、スモレンスクはもちろんロシアの地を西方の敵から守るという奇跡を何度も起こすのですが、1941年〜43年、ナチスが当地を占領した時、ついに失われてしまうのです。
こちらは、宝石や貴金属で飾られてはいませんが、真鍮を手で打ったもので、製作に手間をかけた様子がうかがえます。
もともと、顔や手など大切なところは直接見えるように開けてあるものなのですが、今となってはその部分が空洞で、不思議な匿名性が感じられます。祭壇にあったと思われる真鍮も古色を帯びてよい雰囲気です。このまま飾ってもよいですし、背景を置いても、また開口部から何かを垂らしても興味深いオブジェとなると思います。
サイズは約28.5×33センチです。イコンから剥がしたものなので、歪みや傷み、切れや汚れ、側面に釘の穴などがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。