私たちは地球という星に乗って、すごいスピードで宇宙を移動しています。また大気に包まれていますから、光は屈折して届きます。その星の上から他の星を観測しているわけですから、実際の星の位置を測定するのはそう簡単ではないのだそうです。私も聞きかじった知識を皆さんに披露しているだけなのですが、この図版では水の上を流れていく小舟に大砲を撃つ絵などが描かれ、なんとか説明をつけようとしています。他にも月、水星や金星、はたまた土星の輪はどのように見えているのか。そんなことを一生懸命説明しようとする図がたくさんあります。

現代の目でみると、学術的な意味よりもその構成、デザインに惹かれるものがありますね。さらに、この図版には背景の美しい水色という際立った特徴があります。この水色とぶつからないように、そして深い奥行きを出すように、マットは黒ではなく、ごく濃い紺色を選んで見ましたがいかがでしょうか。

この図版の出典は、イギリスの W & A K Johnston, Ltd, から1903年に出版された "The Twentieth Century Atlas of Popular Astronomy" で、著者は Thomas Heath, BA です。


写真は反射防止の為、アクリル板を抜いて撮影しました。実際には木製額にアクリル板が入ります。額のサイズは四ツ切版、外寸約37×44センチです。