昇天のデスカード
墓標の前に天使たちが集い、道を指し示し、一筋の白い帯が天へと向かいます。その近くには、やはり昇天を導く聖人たちでしょうか。こちらは18歳と6ヶ月で亡くなった女性のものです。多くに見守られてどうか無事に天へと昇ってほしいという、残された人々の切なる願いが伝わってきます。
デスカードの版は既製品を使ったのではないかと思うのですが、やはり亡くなった方、そしてその遺族に相応しいものが、思いを込めて選ばれるようです。
1912年、フランス、パリ製。サイズは約6.8×10.5センチです。
古いものですので、全体にシミや傷みがあります。
✴︎デスカードについて✴︎
デスカードは亡くなった方のお葬式などで配られるカードで、裏にはその人の名前や生年月日、どのような人柄であったのかの説明、それとお祈りの言葉などが書かれています。意匠も様々で、静謐で厳かで美しいものです。
時々古い聖書に挟まっていますが、これはお葬式の時に記念に配られ、それを聖書に挟んだままにしておき、時々見返して故人を偲ぶ為だと思われます。
デスカードの絵を描いた作者は高名な画家では無いかもしれませんが、どれも美しく工夫が凝らされています。時には稚拙な画力のカードもありますが、悲しみを救いに昇華する為に描かれた絵にはやはり力があると思います。ささやかながら死者の冥福を祈り、生者の慰めを助け、いずれは誰もが逝く時の心の支えになるのでしょう。死を優しく受け入れようとする素敵な文化ではないでしょうか。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。