聖杯のデスカード
天使も十字架も花もない、ただ黒地に銀の聖杯のデスカードです。きっぱりと潔いと言えばよいのでしょうか。19世紀の後半、49歳と8ヶ月で亡くなったこのカードの女性はどのような方だったのかと、思わず想像を巡らせてしまいそうになります。
しかし、よく見ると上下にイエス・キリストの復活を信じ、永遠の生命を手にするという一文があり、さらにイエス・キリストの血と肉を表す葡萄と麦が描かれているのです。この一事に全ての思いを込めた、強い意志を感じさせるカードです。
1878年、ベルギー製。サイズは約6.6×10.6センチです。
古いものですので、縁などに傷みがあります。
✴︎デスカードについて✴︎
デスカードは亡くなった方のお葬式などで配られるカードで、裏にはその人の名前や生年月日、どのような人柄であったのかの説明、それとお祈りの言葉などが書かれています。意匠も様々で、静謐で厳かで美しいものです。
時々古い聖書に挟まっていますが、これはお葬式の時に記念に配られ、それを聖書に挟んだままにしておき、時々見返して故人を偲ぶ為だと思われます。
デスカードの絵を描いた作者は高名な画家では無いかもしれませんが、どれも美しく工夫が凝らされています。時には稚拙な画力のカードもありますが、悲しみを救いに昇華する為に描かれた絵にはやはり力があると思います。ささやかながら死者の冥福を祈り、生者の慰めを助け、いずれは誰もが逝く時の心の支えになるのでしょう。死を優しく受け入れようとする素敵な文化ではないでしょうか。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。