エクスヴォートとは奉納品という意味で、主に病気や怪我の平癒や戦争からの帰還を祈願して、その願いがかなった時に感謝の意を表すために奉納するものです。古くは古代ギリシャ、ケルトなどで、精霊への病気平癒の願掛けとしてその習わしが見られ、カトリック教会でも15世紀以降、奉納されてきたようです。

こちらは、19世紀、イタリアの教会に納められたエクスヴォートと思われます。肺の浮き彫りですので、肺や呼吸器の疾患が平癒したお礼として製作され、奉納されたのでしょう。まさに肺そのものを表すプレートの古色を帯びた佇まいには、医療技術が現在ほど十分ではなかった時代に、なんとか治りたいという懸命の祈りと、その願いがかなった心からの喜びが伝わってくるようです。ホールマークなどはないので、素材について確定はできませんが、通常は銀で作られたようです。

サイズは約9×11センチです。