青いベルベットの祈祷書
深いブルーの美しい祈祷書はいかがでしょうか。留め金は十字架形型で小口は金色。表紙は金色の金具で飾られています。古い祈祷書は装丁の金具が一部失われているものも多いのですが、こちらのお品は表紙、背表紙ともに全て揃っています。ベルベットの縁の部分に若干の擦れが、また見開きの綴じに若干の切れがありますが、全体に状態は大変よいものです。
中には図版が多く入っており、それだけでなく、カニヴェが美しいホーリーカード、押し花の葉の上にダイカットを置いたもの、1876年に58歳で亡くなった男性のデスカードなどが、これらも大変よい状態で挟み込まれています。この男性は上院議員でありレジオン・ドヌール勲章騎士章を受勲していますから、当時の社会では貴族階級に属する人物であったと思われます。
さて、ここからは推理の世界になるのですが、19世紀、ダイカットは若い女性がスクラップブックを飾る際によく用いたものです。そして58歳で亡くなった男性のお葬式のカードが挟まれていることから、この祈祷書の持ち主は彼の娘なのではないでしょうか。貴族階級の女性の持ち物だとすると、この祈祷書の素晴らしい装丁にも納得がいきます。
それでは、なぜ母親のデスカードはないのでしょう。もしかすると、この女性は母よりも先に若くして亡くなったのかも知れません。そうすると、この祈祷書がこのように綺麗な状態で残された説明もつきます。以上は、あくまでも私の推理なのですが。
デスカードの年代から推定して、こちらの祈祷書は1876年以前のパリ製。サイズは約10×15センチ、厚さが約4センチです。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。