ベルベットの書籍、題して「結婚の書」はいかがでしょうか。こっくりしたマロン色のベルベットに金の装飾が施され、とても豪華で落ち着いた雰囲気です。小口の金色も鮮やかで美しく、背表紙のプレート、留め金も二つとも健在。ホーリーカードが一枚挟まっておりました。それもお付けします。表紙にフラクトゥールでイニシャルがあり、解読に自信はないのですが IM ではないかと思います。

こちらの書籍、内容はキリスト教の観点から結婚について書かれたもののようで、結婚式のミサ、結婚に関する教訓から出産感謝式、洗礼へと続きます。装丁も美しいのですが、中身も素晴らしいのです。中表紙には手彩色の細密画があり、カラーの挿絵も何枚もあります。また全てのページに美しい飾り縁があり、白黒のイラストもたくさん入っています。キリスト教を踏まえたものですので清らかで控え目な表現ですが、実に手の込んだ豪奢な本だと思います。

この白黒のイラストがまた素敵なんです。華奢で優しいタッチで天使や植物が描かれているのですが、とても軽やかで洒落ていて、現代にも通じる可愛さがあると思います。紹介しきれないほどたくさんのイラストが入っておりますので、ぜひお手元でご覧下さい。

19世紀、フランス製。サイズは約10×14センチ、厚さは約3センチです。
古いものですので、ベルベットの表面や背表紙にキレや傷みがありますが、年代の割にはよい状態です。