このボロボロの本のようなもの、実はスクラップブックなのです。事務用紙を貼り合わせて作った紙を綴じ、クロモスカードや雑誌の切り抜き、トレードカードなどが貼られています。おそらくひとりの女性の宝物なのでしょう。自分のお気に入りの画像を集め、コレクションしたものだと思われます。

後半部分に1889年パリ万博の記念カードが貼られていますので、それ以前のものだと思われます。また1890年の刺繍、1892年小学校の表彰状、1910年の賃貸契約書が挟まれています。これらから察するに、一人の女性が、子供時代のスクラップブックを大人になっても大切に持っていたのではないでしょうか。

中には少し物騒な絵やエロティックな本の挿絵も貼られていて、なんだか人の心の中を覗いてしまったような印象を受けます。後半部分に白紙のページかあるのは、少女から女性への心の変化を表しているのかもしれません。

19世紀フランス製。サイズは約15.5×19センチ、厚さは約6センチです。
古いものですので、全体に傷みがあります。