こちらはかなり大きめのモーニングジュエリー。中央にはピシッと格子状に編まれた髪が入り、周囲には黒エナメルに金文字で「in memory of｣(～を追悼して/～の記憶の限り)とあります。縁取りの盛り上がりも見事で豪華ですね。何よりこのような美しい形見を作り出した熱意が素晴らしいと思います。裏には留金と丸カンがついていてブローチにもペンダントにもなります。

モーニングジュエリーは19世紀イギリスで流行したもので、大切な人が亡くなった折にその遺髪を使い、形見として身につけられました。メメント・モリの思想を汲むもので、故人を悼み、その死を忘れない為のものです。

髪を使ったジュエリーが全てモーニングジュエリーとは限らず、中には友情や愛情の証として、または一族の絆の証として様々な髪が編み込まれているものもあります。けれどこちらは故人の遺髪を使ったモーニングジュエリーだと思われます。

19世紀イギリス製、サイズは約4.5×4センチ、古いものですので全体に汚れがあります。