グランヴィル「花の幻想」から、忘れな草を額装しました。花言葉「私を忘れないで」の通りに、遠ざかる汽船に手を振る女性。忘れな草は水が好きで、よく水辺に群生しています。そんな性質も含めての細やかな擬人化は素晴らしいですね。

女性の顔が見えないのも粋な演出。泣いているのか微笑んでいるのか……見る人の心を映し、絵の中に引き込みます。銅板画よりも硬くて繊細な線の出る鋼板画ですが、この技法は比較的短い期間しか使われませんでした。色は手彩色。軽やかで繊細なグランヴィルの絵は、現代のインテリアにも合うと思います。

絵は1847年、フランスで出版されたものです。額とマットは現行品で、枠が木製でアクリル板を使用、サイズは太子判で外寸約31×40センチ、マット内の絵の部分が約17×25センチです。