ヴィクトリア朝初期のティーボウル「思い出」
溢れんばかりの花々の両側に若者が描かれています。左の若者は足元に地球儀を置き読書をしていますが、もう一方は粗末な服を着て、持ち物は足元に投げ出した若者です。
1840年代にWilliam Ridgway社で制作され、同社はこの絵柄に"Souvenir"「思い出」と名付けたのですが、当時、一般には"Learning lesson"「教訓」と呼ばれて知られていたようです。
これがどんな教訓なのか……想像になりますが、このようなカップ&ソーサーを使う人々は、ある程度上流階級の育ちの良い人々だったと思います。そういう人々の若かりし頃の思い出は、環境に恵まれ、勉学に励んだ思い出ではないでしょうか。けれどその裏には恵まれずに辛い思いをしている人々がいる。少し環境が違っただけでそうなってしまった。それを忘れないように……という「教訓」なのではないでしょうか。
ある意味ノブリス・オブリージュ的な、恵まれた者としての責任を忘れないように、このような絵柄が描かれているのかもしれません。
こちらのカップ&ソーサーはヴィクトリア朝初期に製作されたもので、当時はすでに持ち手のついたカップもあったのですが、こちらのセットは東方からもたらされたお茶文化の影響を色濃く残すティーボウルスタイルの茶器になっています。
ちなみに、沸騰した紅茶を入れたお茶碗は持ち難いため、受け皿にこぼしてそこから飲むということが行われていました。こちらのセットもそのスタイルを忠実に踏襲し、深めの受け皿になっています。この習慣は20世紀になっても高齢の方の間では廃れずに残っていたようです。
イギリスならでは美しい茶器で、たっぷりとお茶をお楽しみになってはいかがでしょう。インド紅茶はもちろん、中国茶や台湾茶にもぴったりだと思います。
1840年代、イングランド中西部、スタッフォードシャーにて制作されました。施された絵柄は銅版を原画としてプリントされたもので、トランスファーウェアと申します。
サイズは飲み口の直径が約9.6センチ、高さが約6センチで、受け皿の直径が約14.5センチです。
古いものですので傷、汚れがあります。


































