ダイカットは19世紀に主に若い女性の間で流行った、今で言うシールのようなものです。その造形や色彩、豊かな表情に至るまで、とても見事で美しいお品です。巧みに型抜きされ、ニスなどで仕上げられていますので、決して安価なものではなかったと思います。これらをスクラップブックに貼り付けて自分だけの世界をデザインしたり、友達同士で見せ合って楽しいひと時を過ごしたのでしょう。
こちらは、むしろカードがメインのようですが、紙と竹でできた傘をさしていたり、女性たち、旅立ちの荷物を運ぶ人から呑んだくれた船乗りまで、どれも異国の風情を感じさせる美しいクロモリトグラフのカードが集められています。19世紀当時、海の向こうにはエキゾチックな魅力に溢れた世界が広がっていると想像しながら、いつか冒険の旅に行ってみたいと憧れたのでしょう。当時の人たちが抱いていた気持ちが伝わってきますね。
さあ、あなたも時空を超えた旅へと出発してはいかがでしょうか。このダイカットたちが旅のチケットがわりです。

19世紀中頃から後半のフランスで作られたものと推定されます。
サイズは約30×23センチで両面に貼られています。
古いものですので傷みや汚れがあります。