深海の義眼
光が到達する限界、青が黒みを増し、海水はとろりと濃く、冷え冷えとする深海。そんな、とても美しい群青が第一印象の義眼です。
しかし、深海は何もない無の世界ではありません。ぜひ、自然光のもとでご覧ください。黒目の周りに薄黄色の花が咲き、これはさしずめ海洋生物でしょうか。その外側には白、薄黄、群青の線が複雑に絡み合いながら走り、うねり、これは深海に渦巻く海流でしょう。この細やかな線の表現は、義眼の中でも特筆すべき美しさです。虹彩外縁はさらに黒みを増してその下の暗黒の世界を予感させます。
人知れずひっそりと、しかし海流が走り、豊かな生命を育む揺り籠としての深海。そんな幻想の世界へと誘う、素晴らしい魅力を持つ青の義眼です。
こちらのガラス義眼はドイツ、チューリンゲン州、ラウシャで製作されました。ラウシャは古くから優れたガラス工芸の町でしたが、19世紀にイタリアから義眼製作の技術が伝わり、19世紀の末までにはガラス義眼で有名になりました。今でもその技術を使って、カスタムのドールアイなどを製作しているそうです。
1920年代の製作とのことですが、実際にはもう少し古いかもしれません。
画像の黒い箱の1辺が約3.7センチです。お品物のサイズの参考にしてください。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。