博物画「ピンクのオウム」
インクがのった見事な多色刷りリトグラフで、ピンクのオウムが紹介されています。光沢を抑えた深みのある色彩はとてもソフトでエレガントです。靄が湧くようにつけられた陰影、次第にぼやけていく遠近感、筆のタッチさえ感じられるような周囲の木々、全てが美しいだけでなくとても幻想的な世界にいつしか心を奪われてしまいます。カラー写真とも美術絵画とも違う、この時代にだけ存在した独特な図版です。
本来、博物学とは自然界のものを整理、分類するという学問ですが、「天地間の隅々まであらゆるものを蒐集し、森羅万象のカタログを作る」という情熱こそ博物趣味と言えましょう。こちらはドイツの著名な百科事典、メイヤー百科事典の挿絵ですが、当時の一般の人々の知識欲、好奇心の発露が感じられます。このインコは和名が「クルマサカオウム」だそうです。
モノトーンの版画に始まる博物画は、それに手彩色を施す技術が発達し、ついにクロモリトグラフによる多色刷りへとたどり着きました。1930年代には姿を消しますが、優雅な絵画的な表現が魅力の多色刷り技法でした。
こちらは、1887年にドイツの著名な博物書籍出版社Bibliographisches Institut in Leipzigにて製作、出版されました。表面を覆う紙は、他のページにインクが付着しないためのものです。
サイズは約15.7×24センチです。
古いものですので傷や汚れがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。