花のティアラ
長い時間の流れは時としてお品物に魔法をかけます。巧みな細工に深い陰影を与え、全身に素晴らしい雰囲気をまとわせて、この世に唯一つだけの作品に仕上げてしまうのです。
このティアラもそんなひとつだと思います。銀色の線の表面を細かい粒状にすることで微妙な光が宿り、それをうねる曲線にして植物の茎を、また幾重にも束ねて花を見事に表現しています。気まぐれな生命の躍動を幾何学的な意匠に昇華させる、1930年代、アール・デコの時代ならではのデザインです。そして、そこに古色が舞い降ります。見る者を夢の世界へと誘うような植物のモチーフに光と陰を刻み、その質感は鈍さと艶やかさが入り混じり、その姿には不思議な立体感や何かを語りたげな雰囲気が満ちています。
散りばめられたペーストガラスは綺麗にカットされたチェコガラスで、こちらも年を経て落ち着いた佇まいから一転して放たれる鋭い煌めきが魅力的です。
これは先ほど申し上げた通り、人と時の流れが意図せず創り上げた作品なのでしょう。どうぞお手元に置いて、また身につけて、ゆっくりとお楽しみになってはいかがでしょうか。
1930年代、アール・デコの時代のイギリス製です。サイズは、ティアラの横幅の最大が約15センチ、最下部両端の幅が約12センチです。
古いものですので傷や歪み、汚れがあります。
こちらの商品は店頭展示品のため、売り切れの場合がございます。また、古いもの性質上、汚れや傷もございます。どうぞご理解下さいませ。